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「生まれてくれてありがとう」──千秋、出産を語る
「生まれてくれてありがとう」──千秋、出産を語る
http://www.ohmynews.co.jp/news/20080411/23369?cd
「今日、私たちは3人家族になるの」
これは、母になることを選んだ女性たちを追ったドキュメンタリー映画『プルミエール 私たちの出産』のなかに登場するセリフだ。映画のなかに登場する妊婦たちが発するセリフはどれもとてもリアルで、核心的だ。出産を目前に控え、出てくる言葉は、ときに苦悩によるものであり、ときに喜びによるものであったりする。そして、そこには、本物のドラマがある。
(C) Mai Juin Productions-M6 Films 2007
……と、ここまで書いて、はたと思った。
そもそも、記者が出産について語ることは、無責任な発言になりかねないのではないかと……。男であるため、自身、「生み」の苦しみ、喜びをリアルに味わう機会は永遠に訪れない。また、結婚すらしていないため、子供が生まれる喜びに関して語ることは今のところできない。自分が父親になったときの姿も今のところ、あまり想像できない。
そんな状態で、「この映画に描かれているものは本物のドラマだ」などと言ったところで、その言葉はあまりに軽い。
「母であるあなたへ。そしていつか母になるすべての女性たちへ」
これはこの映画のキャッチコピー。やはり、そのコピーどおり、まず第一にこの作品を見るべきは女性たちなのだと思う。世界10カ国、文化も風習も、そして生活している土地の気候も違う、さまざまな土地に暮らす女性たちの出産を追体験することで、自分がどのように命を産み出すことがよいのか考えるきっかけとなるだろうからだ。
映画では、例えば、イルカに出産に立ち会ってもらったり、あるいは、砂漠の遊牧民の過酷な出産など、世界中のさまざまな出産がリアルに描かれている。そして、失敗してしまう例もまたある。そういった状況から自己に還元できる手法を学びつつ、しかし、それ以上に「生命を生み出すこと」の崇高さを知ることができるのではないだろうか。
(C) Mai Juin Productions-M6 Films 2007
さて、ではなぜ、この映画に関して、記者は自ら率先して記事を書いているのか。それは、先ほど書いたこととは矛盾するようだが、男だからである。例えば、いかに、心が通じ合っているパートナーであっても、相手の女性の出産に伴う肉体的な痛み、精神的な苦しみ、それだけは経験のしようがない。だから、せめて、知識だけでも、可能な限り仕入れられる範囲のことは知っておかねばならないと思うのだ。
(C) Mai Juin Productions-M6 Films 2007
それゆえ、『プルミエール 私たちの出産』を見に行き、結果的に感銘を受けた。自分に子供が生まれるときは、未来の妻と、ともに苦しみ、また、ともに喜び、そして生まれ来る子供の誕生を彼女と同じ気持ちで祝うことができたら、と思った。
余談になるが、近年、子供に愛情をそそぐことができない母親が増えているそうだ。「虐待」の話もよく耳にする。
なぜ、そうなってしまったのかということに関して、記者は、こう考えている。
社会は男性に都合よい形で作られてきた→女性の社会への進出→社会に適合するために女性が男性化→男性化することにより、ドメスティックなレベルで男女の役割が変化する→子供を生むのは女性、でも、その女性は男性社会に目が向いている……
という流れだ。あまり続けると、「風が吹いたら桶屋……」的な感じになってしまうが、これは今後、しっかりと考えてみたいと思っている。
「私、お母さんだ!」
さて、『プルミエール 私たちの出産』の公開を9日後に控えた4月10日、東京・渋谷「SHIBUYA BOXX」にて、マタニティーイベントが開催された。イベントは、自身、母親であり、また、最近は子供用アパレルのデザイナーをするなど活躍しているタレント、千秋さんのトークショーから始まり、続いて同映画の試写会が行われた。会場には、妊婦50名(と同伴者)が集った。多くは、友人、母親と来ていたが、男女ペア、つまり夫(あるいは婚約者)とともに参加している人々も見られ、印象的であった。
以下、トークショーでの千秋さんの言葉を紹介していきたい。
◇
将来、ちゃんとしたお母さんになれるかどうか自信がない。不思議なことに幼いころから私はそう思っていました。あるとき、それを母親に言ったところ、「妊娠中、10カ月の間に自覚が出るから大丈夫」と言われました。でも、初めて子供を産むことになって、出産直前になっても、まだお母さんになれる気がしませんでした。そして、「やばいやばい、どうしよう」って思っていました。でも、子供がお腹の中から出てきて、顔を見た瞬間、すごくうれしくなって、「あ、私、お母さんになれる」って思ったんです。
そして、生まれた瞬間は「わあ、私、お母さんだ! うれしい」、「生まれてきてくれてありがとう」って思った。だから、今、不安に思っている方も、大丈夫。ぎりぎりまで不安でも、お母さんの気持ちは芽生えます。
妊娠中だからこそ、やっておきたいこと
子供が生まれてからは、外出時、おもつや着替えなどを持ち歩くことになるため、小さいバッグが持ち歩けなくります。だから、妊娠中、今のうちに小さいバッグで出掛けましょう。かわいいバッグを、子供を生んでからは、3、4年は使えなくなります。また、安定期に入れば、けっこういろいろなところにいけるようになるので、友達に会いに行ったり、旅行に行くのもいいですね。やりたいことがやれなくなるので、今やっといたほうがいい。
あと、妊娠中はおなかが大きくなるので、服が着られなくなりますよね。でも、私の場合、部屋に着られなくなったワンピースをいっぱいかざることで、出産が来る日を楽しみに待てるようになりました。「出産が終わったら、着たい服をたくさん着れるんだ。子供を生んだら、早くやせて、あの服を着て出かけたい」と思うことで、つらい時もがんばれました。
トークショー後には、会場を訪れていた妊婦さんたちと記念撮影を行った(撮影:馬場一哉)
大変な育児をどう乗り切る?
私は、育児ノイローゼのようなものはいっさい感じていません。結局、それは気の持ちようだと思うんです。「大変だ」と思ったら、それは「大変なこと」になります。苦労は苦労だと思った時点で苦労になるのです。例えば、「夜泣きするから寝られない」、「部屋をかわいいインテリアにしていたけど、子どもがおもちゃで散らかす」などという話を友達が言っていましたが、それって、特別な害になっているわけではない。むしろ、夜泣きも、家を散らかすのも、その時期だけにしか得られない貴重な体験です。
だから、私は夜泣きの対策として、泣いている姿をたくさん写真に収めるなどしていました。「今しか撮れないな」と思うことで、楽しむことができました。
80歳で良妻賢母になれればいい
子どもを生んで、すぐその瞬間に聖母マリア様みたいな優等生になれるわけがない。世の中のイメージでは、「母は強い、すばらしい」というような評価もありますが、すぐにいいお母さんになんかなれないです。だから、大変だったら「大変」って誰かに言ってしまったほうがいい。私も「オムツ替えるのが面倒くさい」とか、よく口にするし、それを言える友達がいるといいですね。子どもが1歳なら、お母さんも1歳なんです。私は80歳くらいに良妻賢母になれればいいと思ってます。
これからママになる皆様、私みたいなおちこぼれでも、お母さんになれるんです。だから、大丈夫です。
そして、パパは絶対、ママに優しくしてあげてください。ママに感謝の気持ちを、思ってなくてもいいから、言ってください。お母さんを大事にすることで、子供もニコニコなり、仲良くなれると思うので。
おなじみのポーズも披露(撮影:馬場一哉)
◇
千秋さんは、2007年末、お笑い芸人の遠藤章造さんと離婚したばかりだが、今回のトークショーでは、男性を「パパは出産のとき、何にもできないんだからね。本当に役立たずなので」など、暗に批判する言葉も口にしていた。産むのは女性であり、苦しむのも女性だ。記者も、来るべき時には「役立たず」と言われないよう、準備をしたいと思う。
ところで、じつは今、世界では1分に1人の女性が妊娠・出産が原因で命を落としていることを知っているだろうか。そして同時に生まれてくるはずの子供もまた命を落としている。そこで、現在、そんな母子を救うための「メッセージ募金キャンペーン」が実施されているそうだ。関心のある方は、以下の関連リンクをご参照のこと。
『プルミエール 私たちの出産』
4月19日(土)より、シャンテ シネほか全国にて順次公開
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